2013年12月12日、日隅一雄・情報流通促進基金は設立1周年を記念したシンポジウム「秘密社会がやってくる−情報流通を妨げる秘密保護法−」を開催しました。シンポジウムでは、2013年の情報流通促進賞の受賞者の方々をパネリストに迎え、特定秘密保護法が動き出すとどのような問題が起きるのか、それを変えていくためにはどうしたらいいのかなどについてお話しいただきました。
折しも、シンポジウム直前の12月6日に特定秘密保護法が国会を通過したばかりという時期。会場には100人以上の方が訪れ、最後の質疑まで熱気が途絶えませんでした。
シンポジウムで基調講演をした、NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長はディスカッションの中で、「政府が強い権限を持ったことに対し、その権限を必要以上に行使するきっかけを与えてはいけない」と指摘。「関係ない、自分が当事者ではないと考えるのはなく、社会システムの中に特定秘密保護法のようなものができた以上は、個人も発言をしていかないといけない」と指摘しました。
また福島原発告訴団の武藤類子さんは福島第一原発の事故に関して、「地震の影響やSPEEDIの情報が誰が隠したのかなど、真実が明らかになっていない部分は多い。事故の被害者は日本中の人たちだった。真実を知る権利、求める権利は、私たち被害者にもある」と主張しました。
事故後、市民の手で放射能測定をする活動を続けている「市民放射能測定所」の岩田渉さんは、「2011年から市民科学者会議を開いていて、13年は3回目になった。当局の発表する情報に対して、オルタナティブな情報がどれだけ信用できるかということは重要。翻訳などを通して、これからも情報の流れを加速させていきたい」と、今後の活動方針を語りました。
原発報道を粘り強く続けている東京新聞「こちら特報部」からは、佐藤圭記者が参加。佐藤さんは、安倍政権が性急ともいえる姿勢で強引に秘密保護法を成立させたことに関して、「法案を国会に出せば大問題になり、反対運動が盛り上がることはわかっていたので、やるときは一気にやるんだというのは民主党政権の時からささやかれていた。やっぱりそうなのか、と感じた」といいます。そして「安倍政権は衆参両院の選挙で勝った中、政権としての実績がほしかったのではないか」と推測しました。
ディスカッションの最後に三木代表は「特定秘密保護法に問題を矮小化すると議論が狭くなる。これを契機に、政治システムを変えるんだということになってほしい」と希望を述べ、佐藤さんは「情報は国民のものであることを踏まえ、どう管理するかを主体的に考えることが大事」と話しました。
次回の情報流通促進賞も、募集を開始します。授賞式は6月12日の予定です。ふるってご応募ください。